SX-70 FOREVER BLOG

シーズン1

彼女のカメラ 〜12月 ローライ35な彼女〜

毎月違う彼女とカメラを持っておデートしましょ。
いよいよ最終回です。

「彼女のカメラ」お楽しみください。



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僕らは今までに何度デートをしたのだろう。

彼女を待ちながら僕は考える。



待ち合わせ時間に少し遅れて、彼女が現れた。

小走りで近づいて、申し訳ないという風に笑う。

いつものことだ。


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明日、彼女は日本を発つ。

この日が来るのはわかっていたはずなのに、

僕はまだ、心構えができないでいた。

これが最後のデートになる。

しんみりするのは嫌なのに、言うべき言葉が見つからない。

ふざけた冗談でも言って明るい雰囲気にしたいのに、何も思いつかない。



『どこにも行くなよ。』



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心の中だけで、僕は呟く。

いつだって自分の事で精一杯だ。

情けない自分を彼女には見せたくない。




「休みには会いに行くよ。」

先を歩いていた彼女に声をかける。


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振り向いた彼女は微笑んでいた。

彼女の心はもう決まっている。

引き止めることなど出来ない、そう思った。



「ねぇ、最初のデート覚えてる?」


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ふいに、彼女が僕に尋ねる。

「覚えているよ。ネコかぶってたよ、お互いに。」

笑いながら僕は言う。


「そうかなぁ?」


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彼女は小首を傾げている。


「そうだよ、今とはぜんぜん違う二人だった。」

「ふふ、じゃあ違う人だったんだね、きっと。」


そう言って彼女は笑う。



「あの頃から、写真撮り始めたんだよ。」


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カメラを触りながら彼女は言う。

彼女はいつもカメラと一緒だ。

当時の記憶がよみがえる。



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上手く話が出来なくて、もどかしくて仕様が無かったこと。

カメラを構える彼女の姿がとても綺麗だと思ったこと。




あの日、カメラ越しに目と目が合って、

好きな人に写真を撮られる気持ちを、初めて知ったこと。




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あれから何度も彼女のカメラは僕を映している。

その度に特別な気持ちになるのは何故だろう。


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今日もまた、彼女は僕の写真を撮る。

静かに、シャッター音が鳴る。

特別な瞬間だ。


僕をこんな気持ちにさせるのは彼女以外にいないだろう。


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彼女のカメラなんていうんだろう?







撮影:平林 真実
文章:翠
彼女:akiko
プリント協力:monogram







:::::::::::::::ローライ 35:::::::::::::::

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手のひらサイズの超高級コンパクトカメラ、ローライ35。

小さなボディには、ドイツ一流メーカーの技術の粋が惜しげも無くつまっています。

細部まで緻密に計算された精巧な作りは、もはや芸術品。

それに加えてこのスタイリッシュなデザイン、そしてツァイスレンズの抜群の写り。

どんなに多くのカメラを持っていたとしても、ローライ35には憧れを抱かずにはいられません。


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彼女のカメラ 〜11月 シグネット35な彼女〜

毎月違う彼女とカメラを持っておデートしましょ。
「彼女のカメラ」お楽しみください。



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週末、お決まりの公園。

僕は彼女の姿を探す。


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いつもの売店、見慣れた後ろ姿が見える。

僕の彼女だ。

お菓子売り場の前で、何を買おうか迷っているようだ。

「そんなに、悩む?」
僕は声をかける。

振り向いた彼女は、一瞬バツの悪そうな表情をするが、
すぐに真剣な表情で聞き返してきた。

「どれが、いいと思う?」

「これかな?」

僕が指さすと、

「うーん。それかぁ。」


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納得のいかない様子で、全く別のお菓子を手にとる。

「なら、聞くなよぉ。」

たまらず僕は言う。


彼女は僕から逃げるように小走りにレジへと向かう。






段々と冬らしくなってきた風を感じながら、僕らは公園内を歩く。

彼女といえば、いつも首から下げているカメラで写真を撮っている。


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付き合い始めは何がそんなに楽しいのか分からなかったが、

最近は何となく理解できるようにも思う。




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軽い足取りで彼女は歩いていく。

今日は特別、上機嫌なようだ。





ボート乗り場が見えてくると、彼女が立ちどまった。

僕の目をじっと見つめてくる。
どうやらボートに乗りたいらしい。

僕が無言で頷くと、

「やった。」

屈託なく彼女は笑う。


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この笑顔が僕は好きだ。







「あっちあっち」


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彼女が僕に指示を出す。

が、ボートはさした指とは別方向に流されていく。

思っていたよりも操縦するのが難しい。

「あはははは」


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彼女の明るい笑い声が辺りに響く。




「景色が違って見えるね」


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ファインダーを覗きながら彼女は言う。

全く彼女の言う通りだ。


何度も二人で来ている公園なのに、
別の場所のように感じられる。




ファインダーを覗く時だけは、彼女の表情は真剣だ。


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その横顔に、日常と非日常の間にいる感覚を味わう。



「じろじろ見ないで。」



そう言うと、彼女は恥ずかしそうにカメラから顔を離し、

いつもの笑顔を僕に向けた。




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彼女のカメラなんていうんだろう?








撮影:平林 真実
文章:翠
彼女:natsuko
プリント協力:monogram







:::::::::::::::シグネット 35:::::::::::::::

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言わずと知れたアメリカのフィルムメーカー、KODAKのフルマニュアルカメラ。

”ミッキーマウス”の愛称を持つその愛らしいルックスとは裏腹に

KODAKの一級レンズ「エクター」を搭載した本気のカメラです。

光の表現が美しく、繊細な描写をします。


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彼女のカメラ 〜10月 CONTAX Ariaな彼女〜

毎月違う彼女とカメラを持っておデートしましょ。
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彼女と暮らし始めて半年が過ぎた。

いつものように僕らは、夕飯の買い物にでかける。



「ねえ、遠回りして、帰ろう。」

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スーパーからの帰り道、彼女が言いだした。

他愛もない話をしながら、並んで歩く。

彼女と過ごすこんな時間が僕は好きだ。




「いい匂いがする。よって行こう。」

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僕の返事も聞かず財布をとりだす彼女。

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彼女の行動には、いつも迷いがない。



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すぐにコロッケを頬ばる。

「家まで我慢できないの?」

僕が呆れていうと

「あげたてが、いちばん!食べなよ!!」

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そういって僕の分を差し出す。

渋々受けとり、口に運ぶ。

「おいしい。」

思わずいうと、得意げに彼女は微笑んだ。





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線路沿いの路地は、彼女のお気に入りの場所だ。

彼女の首には、カメラがさがっている。

こんな日常にでも、彼女はカメラを持ち出す。

僕には不思議なことだ。

すれ違う人の視線を感じて恥ずかしく思うこともある。



自然にカメラを構える彼女。

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「電車好きなの?」

僕が訊ねると、彼女は少し考えこむ。

と、何か思いついたように含み笑いをする。

「嫌いなものは撮らないんじゃない?」

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そういって、僕にレンズを向ける。

不意打ちで写真を撮られる。

瞬間、意味がわからず呆気にとられる。



「なんだ、それ。」

恥ずかしくなって、思いのほか大きな声になってしまった。

僕は彼女から顔をそむけて歩きだす。

「ごめん、ごめん。怒った?」

そう言って、彼女は僕の手を握る。

「でも、本当のことだよ。」

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いつになく、真面目な声で言う。

「怒ってないよ。」

僕は言う。



「じゃあ、もう一枚撮らせてね。」

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ふたたび僕にレンズを向ける彼女。



僕はどんな顔をしているんだろう?

写真が出来上がるのが楽しみにも思えた。



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彼女のカメラなんていうんだろう?








撮影:平林 真実
文章:翠
彼女:ai.k
プリント協力:monogram







:::::::::::::::コンタックス Aria:::::::::::::::

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ツァイスレンズの豊かな色表現と繊細な描写が手軽に楽しめる一眼レフです。

入門機であるがゆえに誰でも使いやすく、ボディも軽量です。

「どんな時でも素晴らしい世界を写し出してくれる。」

アリアに信頼を寄せ、その描写に恋をした人は数知れず、です。


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彼女のカメラ 〜9月 Nikon FMな彼女〜

毎月違う彼女とカメラを持っておデートしましょ。
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夏の終わり、

数年ぶりに僕は彼女に再会した。



待ち合わせ場所に現れた彼女は僕を見つけると、

少し照れくさそうに微笑んだ。



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「久しぶり。」

緊張のせいか、声が上ずってしまった。


彼女にバレてないだろうか、気持ちが焦る。


話したいことは、沢山あるはずなのに

言葉がでてこない。




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「背、のびたね。」

爪先立ちになって、彼女は言う。




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少年時代を過ごした町、何度も歩いた通学路。

目の前に、懐かしい風景がひろがる。




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彼女と二人、並んで歩く。


昔は何とも思わなかった筈なのに

一緒にいる事が、照れくさい。


彼女はどう思っているのだろうか。




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時折立ちどまって、彼女はカメラを構える。



真剣にファインダーを覗くその横顔は、あの頃と変わっていない。


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制服姿の彼女が重なる。



思わず、見とれてしまった。




「どうしたの?」


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黙っている僕を不思議に思ったのか、彼女が訊ねる。

「おまえ、変わんないなと思って。」


彼女は少し黙って、こう返した。

「そっちは、変わったんじゃない?」


「え・・・どこが?」

ドキドキしながら僕は彼女の答えを待つ。



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「ずっと、黙ってる。昔はもっと『おしゃべり』だったよ。」



心の内を見透かされたようで恥ずかしくなる。


「それはその、大人になったんだよ!」

僕は言い返す。



すると、彼女は声を立てて笑った。



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その笑い声で、緊張が解けていくのがわかった。

あの頃の僕らに戻ったみたいだ。




彼女のカメラなんていうんだろう?








撮影:平林 真実
文章:翠
彼女:yuka
プリント協力:monogram







:::::::::::::::ニコン FMシリーズ:::::::::::::::

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機械式シャッター、堅牢なボディ、解像力の高いレンズ。

フィルムカメラのお手本のようなカメラです。

ニコンといえば「大きい、重たい」といったイメージを払拭し、

コンパクトで撮り回しのよいサイズにデザインされています。

性能、描写、サイズ、どれをとっても、”間違いのない”優秀なカメラです。


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彼女のカメラ 〜8月 キヤノン ダイアル35な彼女〜

毎月違う彼女とカメラを持っておデートしましょ。
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やっと、とれた休日。


折角だからデートらしいデートをしようと、

僕は彼女を遊園地に誘った。



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久しぶりに会う彼女の手には見慣れぬカメラ。

「それ、どうしたの?」

僕が訊ねると、彼女は嬉しそうに笑って答える。

「秘密。」

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「さぁ、はやくいこっ!」


上機嫌で彼女は言う。



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園内の乗り物を順々にまわる僕たち。


いまさら遊園地なんて、少し気恥ずかしい気もしたが

彼女の笑顔で、僕は満ち足りた気分になる



彼女は鼻歌まじりに楽しそうに、僕の先を歩いていく。

と、急に立ちどまる。



彼女の目線の先には、観覧車。



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黙ったままの彼女。


「乗ろうか?」

僕は言う。

彼女は小さくうなづいた。




長い階段をのぼって乗り場にむかう。


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不思議な生き物のように、それは低い音をたてて回転している。


近づくと、その大きさに圧倒された。





隣には見上げてシャッターを切る彼女。

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僕らは、ゴンドラに乗りこむ。

狭い空間にふたりきり。



「ドキドキするね。」

彼女が口を開く。

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「そうかな。」

言いながらも、

自分の鼓動が速くなっていくのがわかった。



ゆっくりと、回る観覧車の中

外の喧騒からは切り離され、

モーター音だけが響いている。

なんだか、会話をするのがためらわれる雰囲気だ。


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彼女といえば真剣な表情でファインダーを覗いている。


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「ありがとう。」



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ふいに、彼女が言った。


「へ?」

僕は何の事だかわからず聞き返す。


「ううん、なんでもない。」


彼女は窓の外へ視線を移す。



「もうすぐ、ついちゃうね。」

そう言って、少し寂しげに彼女は微笑んだ。



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彼女のカメラ、なんていうんだろう?








撮影:平林 真実
文章:翠
彼女:sayaka
プリント協力:monogram







:::::::::::::::キヤノン ダイアル35:::::::::::::::

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1963年に発売された、キヤノンのハーフサイズカメラ、ダイアル35。

古い電話のダイアルを模したデザインは、レトロでポップな印象です。

ハーフサイズカメラの全盛期に作られ、多くのハーフカメラが生まれた中でも、

特にデザインにしっかりとしたコンセプトを感じられるカメラです。



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彼女のカメラ 〜7月 OM-1な彼女〜

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シーズン前の海は、人けもまばらだ。



「海に来ると恋人同士って感じがするね。」


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「恋人でしょ、俺たち。」

僕が茶化して言うと、彼女は少し不服そうに笑った。

「うん、そうだけどさ。」




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視線はじっと海を見つめている。



「写真、撮ってくる。」



そう告げて、彼女は一人歩きだす。



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写真を撮るのに夢中になった彼女は僕の存在を忘れている。

彼女の姿を、僕はただ見つめる。

置き去りにされたようで、心もとなくなる。

曇り空が、余計に寂しい気持ちにさせた。



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何か、彼女が僕に向かって言葉を発している。

波音にかきけされて声がよく聞こえない。

声を張りあげるのを諦めたのか、彼女は僕に近づいて来た。

その表情は何だか嬉しそうだ。


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「この海、前にも来たことあるよね?」

「今、気付いたの?」

「うん、思いだした。なんで忘れていたんだろう。」


彼女は、僕の隣に座る。

「あの時は、二人じゃなかったもんな。」

「二人になるはずなんかじゃなかったのにね。」



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「どうして、そういう言い方するかな。」

やれやれと僕はため息をつく。



「ふふ、ごめんね。」

悪びれもせず、彼女は小さくわらう。

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「なぁ俺のことも撮ってよ。」

「やぁだよ。」



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そう言いながらも彼女はカメラを構える。


真剣な表情でファインダーを覗く。


彼女の眼には、僕はどう映っているのだろう。



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あの時も、たしか彼女はカメラを持っていた。


彼女に撮ってもらった写真があったように思う。




彼女は、覚えているだろうか。



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彼女のカメラ、なんていうんだろう?








撮影:平林 真実
文章:翠
彼女:izumi
プリント協力:monogram







:::::::::::::::オリンパス OM-1:::::::::::::::

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小型・軽量一眼レフカメラの先駆け的存在、OM-1。

モダンで洗練されたデザインは、現代においても褪せない魅力を持っています。

軽いボディと静かなシャッター音。

流れるような操作感。

生活の一部に溶け込む、そんなカメラです。



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彼女のカメラ 〜6月 MXな彼女〜

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静かな昼下がり。

こんな穏やかな日は、釣りでもどうかと彼女を誘った。




釣り堀に足を踏み入れた瞬間、不思議な懐かしさがこみあげてきた。
幼い頃、父親に何度も連れられてきた事を思い出す。

釣りをしたことはあるのかと、彼女にたずねたら、

「はじめてだよ。」

と答えが返ってきた。



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物珍しいのだろうか。

彼女は肩から下げたカメラで、あちらこちらを写真におさめている。
僕はなんだか、誇らしいような自慢したいような気持ちになる。




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「写真もいいけどさ、釣りしようよ。」

僕は言う。

「それも、そうだね。」

彼女は笑う。




餌をつけるのに苦労している様子の彼女。

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「やってあげようか?」

「うーん、自分でできるからいいよ。」

そう言いながらも、なかなか上手くいかないようだ。
眉間にしわをよせて、真剣な表情になる。

「ちょっと、貸してみて。」

たまらず僕は言う。


「あーもう、話しかけられると集中できないよ!」

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僕は仕方なく、彼女をみまもる。







「できたっ!!」


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餌の付いた釣り針を自慢げに見せる彼女。

「お、うまいじゃん!」


子供のように喜ぶ彼女の姿に、たまらなくいとおしさを感じた。







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僕らは並んで、堀に糸を垂らす。

水面を眺める彼女の横顔に、僕はつい見惚れてしまう。




ゆるやかな時間が流れていく。








バシャン!


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突然のシャッター音に、はっとさせられる。


「驚きすぎ。」

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カメラを構えた彼女が僕を見て笑う。

「不意打ちで、撮るなんて反則だって!」

被写体になるのは、正直恥ずかしい。

「ごめん、ごめん。でも、いい表情してたよ。」



彼女に写真を撮られることには、もう慣れっこのはずなのに、
いつも、照れくささが残るのは何故だろう?





「じゃあ、もう一枚撮ろ・・あっ、シャッターチャンス!」


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堀の中で魚が跳ねる。

彼女はすかさずレンズを向ける。


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「うーん、難しい。ちゃんと撮れたかな?」

口をとがらせて言う。







「なんか・・・、」

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「のんびりしてて、いいね、今日は。」

そう言って、彼女はふたたびファインダーを覗いた。





彼女のカメラ何ていうんだろう?








撮影:平林 真実
文章:翠
彼女:ai.m
プリント協力:monogram







:::::::::::::::ペンタックス MX:::::::::::::::

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手のひらサイズの超小型一眼レフカメラ、MX。

高精度の機械式シャッターに視野率が高く見やすいファインダー。

小さなボディに必要最低限の十分な機能がぎゅっと詰め込まれています。

小型軽量カメラを得意とするペンタックス。

その頂点と言うべきカメラです。



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彼女のカメラ 〜5月 オリンパス ペンな彼女〜

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昼休み、僕は偶然に彼女をみかけた。


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空を見上げて、じっとしている。

いったい、何をしているんだろう?


近づいて、ようやく彼女がカメラを構えているのだとわかった。


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僕は、思い切って彼女に話しかけた。

「それ・・・、カメラ?」

僕が声をかけると、彼女は一瞬おどろいた表情をみせた。


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「・・・うん。フィルムカメラ。」

「フィルムかぁ、すごいね!」

「すごい?うーんと、何がすごい?」


不思議そうに聞き返す彼女。


「いや、なんか色々と。ほら本物って感じがするし、あんまり見かけないし・・・」


焦って、曖昧な答えをしてしまった。



「そっかぁ、そういうモノなのかな?」

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言いながら、彼女はふたたびカメラを構えた。


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彼女と僕は同じ講義をとっている。
面と向かって話をするのは初めてだ。



もしかしたら、彼女は僕に気がついていないかもしれない。




「あ、・・・良かったら、これ食べない??」

僕は持っていた袋をさしだす。


「いいの?」


袋の中をのぞいて彼女はわらう。

その微笑みに僕は少しほっとする。



彼女と僕はベンチに並んで腰掛けた。


特別、僕に構うこともなく彼女は自然にシャッターをきる。


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僕は、彼女の邪魔になっていないだろうかと少し不安に思いながらも、話しかける。


「・・・どうして、写真を撮ろうと思ったの?」



「なんでだろう?理由とか考えたことないな。」


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彼女は少し考え込んだ。


「うーん、理由なんてなくて、撮りたいから撮っているだけだと思う。」



と、僕にレンズを向けてシャッターを切った。

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「うん、やっぱり撮りたいときに撮っているだけ。」


彼女はきっぱりと言った。





「みる?」

不意に彼女が僕にたずねる。

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「へっ??」

「写真。現像したら、見る?」


「あ・・・ああ!うん。そうだね。」

また、曖昧な返事をしてしまった。



「じゃ、写真できたら声掛けるね。」

そう言って彼女はわらった。


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彼女のカメラ、なんていうんだろう?




撮影:平林 真実
文章:翠
彼女:hanae
プリント協力:monogram





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累計販売台数1700万台を超える大ヒットカメラ、オリンパス ペンシリーズ。

ハーフカメラの代名詞とも言われるこのカメラ。

当時まだ高級品であったカメラを、広く一般家庭へと普及させるため開発されました。

「安価でありながら、写りには妥協しない」

オリンパスが誇る天才設計士・米谷美久氏の理念がたくさんつまったカメラです。

特にこのEEシリーズは、押すだけかんたん操作で、気軽に写真を楽しめるモデルです。



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彼女のカメラ 〜4月 ペンFな彼女〜

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「お花見行こうよ!」


彼女の電話は、いつだって突然だ。
僕は彼女の待つ駅へと急いだ。



花見客でごった返す駅の中、僕は彼女の姿を探す。

「こっち、こっち!!」

僕を見つけた彼女が、大きく手をふっている。




彼女の首にぶらさがっているのは、買ったばかりのカメラ。
最近はどこへ行くにもカメラと一緒だ。


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「きょうは、写真の練習する!!」

お気に入りのカメラを手に彼女は得意気に宣言した。





「わぁ、桜すごいよ!」


興奮気味の彼女に連れられるまま、川沿いへと向かった。
満開の桜が、ぼくらを迎える。


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まだ慣れないのだろう。

写真を撮っては、「あー」だの「うー」だの言葉にならない声をもらしている。





「あっ、ねぇねぇ!」

突然、彼女が嬉々として話しかけてきた。


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「ビール!!」


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「ふぁー、やっぱり花見といえばビールだよね。昼から飲めるなんて最高だよ。」


花見も写真も忘れて、ビールに夢中な彼女・・・。



「写真、撮らなくていいの?」

僕が少しあきれて言うと、


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急に僕にカメラを向けてシャッターを切る。

「はい、撮りました。」

「バカにしてんのかよ〜。」


「あはははは!」

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可笑しくてたまらないというように、わらう彼女。






川沿いに戻ると、ふいに強い風が吹いた。


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「わぁ・・・。」

桜の花びらが舞う。

ぼくらは息をのんで、ただそれを見つめた。

「きれいだね。」

「うん、でもこうして桜の花は散っていってしまうんだね・・・。」

めずらしく感慨深い彼女の言葉に、僕も少しだけ切なくなる。


「また、来年もこようよ。」
「そうだね。うん、約束。」


そう言って、彼女はまたカメラを構えた。


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彼女のカメラ、なんていうんだろう?









撮影:平林 真実
文章:翠
彼女:tao
プリント協力:monogram







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世界初、そして世界唯一の、ハーフサイズ一眼レフカメラ。

スリムなボディに軍艦部の突起を無くした斬新なデザイン。

本格一眼レフの機能と革新的な設計を持ち合わせ、たくさんの特許を生み出しました。

ハーフカメラの女王と呼ばれるこの美しいカメラは、唯一無二の存在感を放っています。



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彼女のカメラ 〜3月 SX-70な彼女〜

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「おはよう。」

目を覚ますと、彼女の甘い声がふってきた。


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「やっと起きたね。ぐっすり寝てたよ。」

「・・・ん、そう?」
伸びをしながら、僕は答える。

「ねごとも言ってたよー。」
嬉しそうに彼女は言う。



彼女の部屋でむかえる休日の朝。
窓から射し込む陽の光がまぶしい。
どうやら、随分長いこと眠ってしまったらしい。



「あっ、ねぇ、ちょっと後ろ向いて。」
言われるままに身体をよじると、彼女は笑いだす。



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「なに、どうしたの?」

「ふふふ、なんでもない。あ、いいこと思いついちゃった。そのまま後ろ向いてて。」

「え、なに?」

僕が向き直ろうとすると、
肩をぐいっとつかまれて元の姿勢にもどされた。

「いいから、いいから、うごいちゃダメだよー。」

背中ごしに彼女のいたずらな声と、ゴソゴソと動く物音がする。




ガチャン、ジー



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「撮っちゃったー。」

嬉しそうに写真を伏せる彼女。
いったい、なにを撮ったんだろう。

「ねぇ、見せてよ。」

「まだダメ。ちゃんと、撮れたかなぁ?」
写真を少しめくって覗き込む。

「ねぇ、まだ?」
「まぁーだ。」




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彼女だけが嬉しそうにしているのが、何だかじれったくてもどかしい。



「あ、出てきた出てきた。はい。」
そう言いながら僕の隣に寄り添って、写真を見せにくる。

「あ・・・」

そこにあったのは、僕の後頭部。

「ふふふ、すごい『寝ぐせ』でしょ。」
こらえきれないといったふうに、クスクスと笑う彼女。


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「ひどいなー。」
僕は口を尖らせる。

「ごめん、ごめん。じゃあ、次はかっこよく撮ってあげる。」


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「ねぇねぇ、かっこいい顔してみて。」

「無茶なこと言うなよ。」
そう言いながらも僕は、眉間に力を入れて、それっぽく顔をつくる。

「いいねぇ、いいねぇ。」



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彼女は笑いながらファインダーを覗く。



部屋に響くカメラの音。

次々と、はきだされていく写真たち。




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「いっぱい撮ったね。」

テーブルに写真を並べながら彼女は言う。


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「ねぇ、どれがいいと思う?」

「んー、これかな?」
僕が指をさすと、

「わたしも、これがいちばん好き。」

そう言って、彼女は満足そうに微笑んだ。



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彼女のカメラ、なんていうんだろう?








撮影:平林 真実
文章:翠
彼女:hisae
プリント協力:monogram







:::::::::::::::ポラロイド SX-70:::::::::::::::

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通称”アラジン”。

魔法の箱と名付けられたこのカメラは、1972年、アメリカのランド博士によって生み出されました。

きっかけは、博士の幼い愛娘の無垢な質問、「どうして写真はすぐに見ることができないの?」

美しいデザインに、折りたたんで持ち運ぶというユニークな仕掛け。

独特の描写で写し出される、世界に一つしかない写真。

40年あまり経った現在でも、SX-70に魅了され、その虜となる人は後を断ちません。


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